美容師の独立

美容室で経費計上できる費用は?現役美容師が徹底解説

この記事で学べること

  • どのような物を経費として計上していいの?
  • 経費として認められない物はある?

これから独立して美容室を経営する方や、フリーランスに転向する方の中でこのようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

業務に関する支出は、ほとんどの物が経費として上げることが可能ですが、中には計上できない物もあるので注意が必要です。

本記事では、美容室で経費計上できるもの・できないものを現役美容師が徹底解説していきます。

美容室で計上可能な経費は?

そもそも経費とは、仕事をするうえで必要な物・契約費・サービス利用料などでかかった費用のことを指します。

収入から経費を引いた額が所得額となるので、正しく経費計上することで「所得税の節税」につながります。

そのためには、経費で落とせる費用をしっかりと把握しておくことが大切です。

では、美容室で、計上可能な経費項目を詳しく解説していきます。

仕事で着用するエプロンや制服費

一般的な美容室では、服を私服兼仕事着として着用することが多いですが、お店の制服がある場合は、消耗品費として経費計上ができるのです。

また、カラーを塗布する際にカラー剤から洋服を守るためのエプロンを着用する場合も、エプロンを経費として上げることが可能です。

会議や接待交際費

取引先の方との打ち合わせでカフェを利用した場合のドリンク代や、接待に要した費用も経費として認められます。

また、「会議費」として計上できる条件として、1人につき飲食代が5000円までという基準が設けられています。それ以上の金額がかかった場合は、「交際費」として上げる必要があるのです。

会議費として計上するにあたって、以下の情報を明らかにしなければなりません。

必須項目

  • 飲食が行われた年月日
  • 飲食代金
  • 利用した店舗の名称と住所
  • 取引先の名称
  • 参加人数

同じ職場の方だけで飲食をした場合は、5000円以下でも「交際費」として計上しましょう。

旅費交通費

職場までの交通費も、業務を行うために必要不可欠な費用なので、経費計上できます。

勘定科目は、「旅費交通費」の項目で処理をします。かかった交通費の領収書は大切に保管しておきましょう。

広告宣伝費

美容室やフリーランス美容師が、集客を目的として、ポータルサイトに掲載する際にかかる掲載料も経費として計上できます。

また、チラシを作成する際にかかった費用も経費の対象です。

消耗品費

消耗品費として計上できるのは、以下のものです。

消耗品

  • シャンプー
  • トリートメント
  • シザー
  • タオル
  • 薬剤
  • ブラシ
  • ドライヤー
  • 施術椅子などの備品
  • コテ
  • アイロン

消耗品費の項目で計上できる物の条件として、価格が10万円未満・使用可能期間が1年未満と決められています。

美容師が施術で使用する道具・薬剤は、ほとんどの物が消耗品費で計上できますよ。フリーランス美容師の場合も同様に、施術で使用する薬剤やシャンプーなどの購入費を消耗品費として経費計上できます。

家賃

テナントとして借りている美容室の家賃も、経費計上できます。勘定科目は、「地代家賃」の欄に記入しましょう。

水道光熱費

美容室でかかる水道・電気代・ガス代も、経費で落とすことが可能です。

通信費

仕事のやり取りを、メールや電話を使ってすることも多いと思います。

2台のスマートフォンを仕事用とプライベート用に分けている場合は、仕事用のスマートフォンの通信費を経費として計上することが可能です。

しかし、1台のスマートフォンを仕事とプライベートで兼用している場合は、家事按分する必要があります。

通信費として支出した費用のうち、業務で使用した割合の金額のみ経費として認められるのです。

新聞図書費

お客様に提供する雑誌や新聞・技術やヘアスタイルの勉強のための参考書などの購入費は、経費として計上できます。

人件費

スタッフの給与と社会保険の会社負担額分が経費計上の対象となります。

講習費

技術向上のための、講習やセミナーへの参加費・交通費は、経費として認められています。また、単発でなく、宿泊を伴う場合の宿泊費も経費計上が可能です。

保険料

独立してテナントで美容室を開業する場合、お店にかける火災保険や地震保険などの、保険料も経費計上できます。

美容室で計上不可の経費は?

業務に関わるほとんどの物や支出が経費として計上可能ですが、中には経費として認められないものもあります。

衣服費

美容師の場合、プライベート用と仕事用で服を分けて考えるのが難しく、衣服代を経費として上げることは不可となります。

ただし、お店の名前やロゴがデザインされた制服のような服だと、衣服でも経費と認められます。

自宅兼サロンの家賃・水道光熱費

自宅の一部をサロンとして使用している場合、家賃や水道光熱費は、仕事場として使用している割合分しか経費として認められないのです。

自宅の中でサロンとして使用している面積の割合に応じて、経費として上げられる金額が決まります。

アクセサリー類

美容師は、ヘアスタイルを提供する職業なので、髪型やファッションに気を遣う必要があり、業務中にアクセサリーを着用している人も多いです。

しかし、ピアスやネックレス・リングなどのアクセサリーは、必ずしも業務に必要なアイテムではないので、経費計上はできません。

美容室を運営するにあたって発生する費用は?

美容室を運営するにあたって、毎月必要な費用を詳しく解説していきます。

家賃

自宅兼サロンの場合を除いて、テナント契約をしている美容室がほとんどです。家賃は、売上の10%が相場と言われており、月売上が低い高い関係なく、毎月支払わなければならない固定費の1つです。

立地や坪数などによって、家賃の価格は大きく異なります。毎月の利益を多く残すのであれば、家賃をできるだけ抑えた物件を探すことをおすすめします。

人件費

自分1人で美容室を経営する場合は人件費はかかりませんが、アシスタントやスタイリストなどを雇う場合は、人数分の人件費が毎月発生します。人件費は、経費の中でも大きな割合を占める項目です。

毎日1人でお店を回せるくらいの客数の場合、スタッフを雇うと、人件費が負担となってくる可能性があります。

そのため、月の来客数に応じて、適切にスタッフを雇うことをおすすめします。

水道光熱費

電気・ガス・水道代が、毎月固定費として必要です。

美容室では、お湯で髪の毛を流したりドライヤーを使って髪を乾かしたり、業務中に水道や電気を使う場面が多いので、負担額が大きくなるイメージがありますが、一般の家庭と同程度です。

通信費

通信費とは、固定電話やインターネット・Wi-Fiなどにかかる費用のことです。

通信費は、スマートフォンやパソコンから予約を受付したり、SNSにヘアスタイルをアップしたりと、美容室では必要不可欠な固定費となります。よって、いかに毎月かかる通信費を安く抑えられるかがポイントです。

スマートフォンがあるから固定電話を置かないお店もあると思いますが、やはり固定電話があるお店は、お客様からの信頼度が高まります。

固定電話とインターネット回線を安く契約できるプランもあるので、調べてみることをおすすめします。

材料費

お客様の施術に使用する、薬剤やシャンプー類などの材料費は美容室運営に欠かせません。

雇用されていた頃と違って、使用した分だけの材料購入費が自身の収入から減っていくので、より一層材料を無駄なく使用してコスト削減の意識を持ちましょう。

消耗品費

お客様の施術で使用する、ハサミやブラシなどは、毎月購入する物ではなく変動費として必要となります。

イヤーキャップ・フェイスガーゼ・コテ・ドライヤーなどの消耗品も、故障したり無くなったりすると、その都度購入しなけらばならない物に分類されます。

その他では、ボールペンやメモ用紙などの事務用品や洗濯用洗剤や掃除道具なども、毎月必要な固定費ではなく、変動費としてその都度必要となります。

お客様に提供する雑誌も、1冊600円〜1000円ほどかかるので、毎月数冊購入するとなると年間で大きな出費額となります。

初期費用はかかりますが、タブレットを用意してサブスクリプションを契約すれば、月額400円ほどで数十種類の雑誌が閲覧できます。年間のコスト削減のために、利用している美容室も増えてきていますよ。

広告宣伝費

独立して美容室を運営する、または、フリーランスとして活動していく場合、集客がとても重要となります。なぜならば、現在の顧客だけでは、売上に限界があるので、新規客を増やす必要があるのです。

集客目的でポータルサイトに登録する場合は、毎月の掲載料が必要となり、ポスティング用のチラシを作成する場合は、作成・印刷料が必要となります。

経費管理に便利なツールは?

経費管理アプリとは、経費のレシートや領収書をデジタルで管理できるツールです。アナログで、紙の領収書を見て1つ1つ帳簿に記入するのは、大変ですよね。

記入の手間を省けて領収書の保管にも困らないように、2017年に「電子帳簿保存法」改正により、デジタルで管理できるようになったのです。デジタルで管理すると経費管理の効率をアップできるのでおすすめです。

アプリで経費を管理すると、いつでもスマートフォンやPCで入力・確認することが可能なので、とても便利ですよ。

デジタルで経費管理をする場合は、3ヶ月前までに税務署にその旨を申告する必要があります。指定の申請書を提出するだけで簡単に切り替えられますよ。

では、おすすめの経費管理アプリを紹介していきます。

マネーフォワードクラウド経費

「株式会社マネーフォワード」が提供するクラウド経費精算アプリです。

プランはいくつか用意がありますが、個人事業主の方向けのお手頃価格の「パーソナルミニ」プランの場合は、以下の金額で利用できます。

  • 月額:980円(税抜)
  • 年額:9,600円(税抜)

経費精算をアプリ1つで終わらせることができるのが大きな魅力で、月額利用料は発生しますが、初期費用は無料な点も嬉しいポイントですね。

使える機能はシンプルで少なめですが、できるだけ支出を抑えたい方にぴったりなプランです。

パーソナルミニプランで利用可能な主な経費精算機能は、以下の通りです。

機能

  • 帳簿付け
  • 自動仕分け
  • 申告書類の作成

1ヶ月間無料トライアルができるので、実際にさまざまな機能をお試しできますよ。

マネーフォワードクラウド

freee経費精算

freeeは、クラウド会計ソフト市場シェア数1位のソフトです。1つのアプリで経費精算や確定申告の書類作成などの、あらゆる事務業務に対応できます。

スマートフォンで領収書やレシートを撮影するだけで、必要な情報を読み取ってくれるので、いつでもどこでも簡単に経費の申請・承認が行えます。

勘定科目も自動で推測してくれるので、初めて経費精算を行う方にぴったりなソフトです。

法人ではなく、個人としてfreeeに加入し、経費精算機能をつかう場合は、いくつかあるプランの中から「プレミアム」プランのみ利用可能です。

  • 月額:なし(月払いは不可)
  • 年額:39,800円

個人事業主向けプランの中ではハイクラスですが、経費精算以外の全ての機能が利用できるので、1つのアプリで完結させたい方におすすめです。

公式サイトから簡単に登録でき、1ヶ月間無料トライアルが可能なので、気になる方は使ってみてはいかがでしょうか。

freee

まとめ

本記事では、美容室で経費計上できるもの・できないものを解説しました。

業務に関わるほとんどの物が経費として上げることが可能ですが、「これは、経費として上げられるのかな?」と迷った時は、税務署に確認をして申告漏れがないようにしましょう。

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